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石川朋子さん(29回生)

【プロフィール】
1994年豊丘高校卒業。1年間名古屋の美術研究所(予備校)に通い、翌年金沢美術工芸大学に入学、工芸科を専攻し、その後大学院へと進む。大学卒業後、5年間名古屋での創作活動を行い、2006年10月に現在の設楽町東納庫のアトリエに移る。創作は生活で使える物を中心に手掛けている。

Ishikawa_tomoko_02 今年の8月に、豊橋市花園町のギャラリー「パルペ」で開催された、「うつわに うつつ」石川朋子の銅器展におじゃましました。銅や真ちゅうを素材にいつもの暮らしで楽しめる器や道具が展示されていて、その温かみのある風合いとかわいらしい形がとても魅力的でした。
 今回は、そんな石川さんのアトリエにおじゃましての対談です。
アトリエの場所は山深い(?)北設楽郡設楽町東納庫(ひがしなぐらと読み、名倉とも言います)。国道257号線から少し山に入った静かな別荘地にあります。雑音の無い澄んだ空気の中、時間がゆっくりと流れます・・・


質問:
石川さんの小中学生時代に付いてお聞かせ下さい。
石川:小さい頃は姉と絵を書いていた記憶はありますね、色を使って塗ったりするのが好きでした。
中学の頃はバレー部に入り、朝練で2kmとか走っていましたね。(笑い)でも、美術では水彩画が好きで、校外に出て写生を行った事もありました。
 そう言えば、中学の時の美術の先生が多摩美を出たすごく熱血な人で、先生の話を聞いていると美大ってすごくおもしろい所だなって、こんな事も出来るんだって、美術の先生だけどいろいろな事を知っている先生で、美術の他に演劇の事とか詳しかったです。
 当時の中学校は合唱コンクールとか文化祭とかに割りと力を注いでいて、合唱コンクールのCDを毎年1枚作ってくれたんです。そのCDジャケットをその美術の先生が描いていました。普通にえんぴつでサラサラっと地元の山の絵を描いただけなんですが、私には良いなって思えました。
 そのCDは後から聞いても記念になりますね。たぶん兄の頃にはLPレコードを作っていたと思います。

手造りのキャンバス

質問:美術に興味があったようですが、具体的にどのように美術の勉強をして行ったのですか?
石川:高校に入った時には美術大学に行きたいと思っていたので、石膏デッサンなどの勉強をしたいと思い美術部に入りました。現在の実技試験は判りませんが、石膏デッサンは受験の実技で、美術室とかにある石膏像をえんぴつや木炭で描くデッサンです。そう思えば、その頃から、将来に付いて真面目に考えていたんですね。(笑い)
 部活では油絵で自画像を描いたり、デッサンの練習とか、佐久間先生とお話したりとか。(笑い)
 部員はそれぞれやりたい事がバラバラだったのかなー、先生と相談してそれぞれ決めていました。
 その頃は油絵で大き目の自画像を描きたかったけど、大きな布張りのキャンバスは売っていないので、自分でベニア板を切って枠を作って、板を張って、下地を塗って、1からやっていました。そういう体験も初めてでしたね。
 学校外では、豊橋の名豊ビルの中にカルチャーセンターみたいのが有って、そこでデッサンを教えている名古屋芸術大学で油絵を教えていた高木先生という人がいました。その講座を高校1年の時、週2回ぐらい通っていました。
 その後、毎週日曜日だけ名古屋の河合塾美術研究所の高校生対象の日曜コースと言うのがあってそこに行ってました。

質問:石川さんは早くから受験対策を行っていましたが、美術系の道を選ぶには、高校1年の頃から始めないと間に合いませんか?
石川:その頃はそう思っていたんですけど、受験の対応の勉強をするんであったら、私は高校3年からで全く遅くないと思いますし、それまでにもっといろんな作家の人を自分で調べたりとか、巨匠の描いたデッサンを見るとか、そういう事をもっともっとたくさんやっておけば良かったなあと思いますね。
 美術の色々な分野に興味の枝を伸ばす事で何でこんなふうにデッサンをしないといけないんだとか、どうしたらこんな風に描けるのかとか、あと自分の工夫のしかたとか、そういう感覚が鍛えられるんじゃないかなと思います。描く前に自然に身に付いている人は良いんですけど・・・。

絵画から工芸へ

質問:まだ鍛金の話は出てきませんね。興味無かったのですか?
石川:今から考えてみたら、中学や高校の時ふとした時にオブジェみたいな変わった物を作っていたんだなって思います。紙粘土とかあるじゃないですか、ビンのキャップみたいなものを張り合わせて白く塗ってとかしていました。(笑い)
 浪人するまでは、油絵や絵が描きたいとずっと思っていたんですが、その美術研究所に行って、本当に作家活動をしている人達が先生だったので、絵を描くだけではなくこういう表現があるとか、こういう考え方でこういう作品を作っているという話を聞いて、いろんな人がいるんだなあと刺激を受けましたね。
 美術研究所の先生が、芸大で彫金を専攻している大学院生で講師にきていたんですけど、「大学では彫金はどの様な事をしているのですか?」と質問した時に、作品を見せてもらって説明を聞き工芸の分野に興味を持つようになったんです。
 東京芸大と金沢美大と言うのが、工芸では入ってから専攻を選べるよと言う話を聞いて、志望を変えましたね。
 大学1年の時は、デザイン科の生徒と同じ基礎的なデザインの勉強をしていました。アイデアの出し方とか、午前中が工芸の生徒の実技の実習で、午後から学科の授業がそのデザイン科の生徒と同じ授業を受ける機会が多かったです。
 工芸デザインには、鍛金・鋳金・陶磁・染色・織物・漆とがあり、大学2年生の時に通称「どさ回り」って言う各コースを回る実技の実習がありました。私はその内の4種類、鍛金・陶磁・染色・漆の実習を受けました。

Ishikawa_tomoko_01質問:なぜ、鍛金を選んだのですか?
石川:なぜ鍛金だったんでしょう
ね。鍛金を取ったのは、金沢美大では、鍛金の中に彫金が入っていて、初めは彫金をやってみたいと思ったからですね。
 実際に実習に入ると彫金の実習は当たり前ですが、すごく細かい作業なんですよね。とにかく細かい作業で象眼(金属に掘り込む)のように、そんな細かい作業をずっとやっていくのは自分には向いていないなと思ってしまって、鍛金の実習は、花器やポットなどのある程度大きさのある入れ物とか作ったりするんですけが、彫金は表面を飾るのが目的と言うか、華燭がメインで、鍛金と彫金とでは、道具の大きさも違います。本当に作業が細かく繊細な世界だったので、これでもし自分が卒業制作を作るとしたら何を作るんだと言う事も想像しながら、どちらを選択するか考えました。
 鍛金の先輩の卒業制作が学校に置いてあって、すごく伸び伸びした良い作品がありました。鍛金って、全く想像の付かない世界だったけど、こういうオブジェも作れるんだって思って、ほんとに彫刻を作るような感覚も必要なんだとか、これはこれで形を考えて組み立て方とか、形の見せ方とかの勉強になるなって思って、それで鍛金を選んだと思います。
 彫金は細かい作業が好きな人には向いていると思いますよ。

質問:大学や大学院ではどのような作品を作られたのですか?
石川:ほとんどオブジェですね。最初の1年ぐらいは基礎的な銅版の扱い方を習得する実習で課題が決まっていました。最初が筒を作り、次が花器で、その次がポットを作って、その中で銅や真ちゅうの熱伝導とかやわらかさとか、叩き方みたいなものを覚えて行って、それで3年になって、課題で動物というのがあって、もう一方が自由制作でした。
 先生が厳しい人でデッサンを見せても、これ出来ないとか、この形は好きじゃないとか、(笑い)今考えると、なぜこれはダメだと言われたのか、なんとなく判るんですけど、結構技術的にも大変なので、この実習期間の中では絶対に出来ないと言う意味もあったとは思うんです。
 その頃は、ダメって言われると全て否定された感じですごく落ち込んだりする事もありました。

鍛金の道

質問:鍛金の道に進み、将来どのようになりたいと思っていましたか?
石川:先生もその辺ですごく悩んでいたと思うんですけれど、まず、そんなに需要があるわけでもないですし、焼物みたいに外の世界で大きく確立されてもいないじゃないですか、メジャーでもないですし、本当に興味のある人しか知らないし、そう言う意味で、良くオールマイティな人間になれと言われましたね。
 社会に出た時に、デザインが出来たりとか、図面が書けたり読めたりとか、社会と自分とをどう結びつけてやって行くのかと言う事
をちゃんと考えないとダメだぞって。
 社会の中で、鍛金を生かせれば良いんですけど、自分の勉強してきたデザインの事とか、工芸の事とかをこれから生かしてゆくというので、社会に出たらいろいろできなきゃいけない事があるんだぞって言う話をされていました。
 とにかく、もっと勉強しろと、お前達は勉強が足りないと。(笑い)いつも扇子を持っているんですけど、パシッと叩かれたりしてました。(笑い)
 何かしら仕事をしないといけないなと就職なりなんなりして、と思いましたね。

質問:この鍛金を続けて行く上で苦労した事とかありますか?
石川:やっぱり、仕事場ですかね。仕事場の場所を考えてしまう事とあとは、道具の事とかですかね、設備が自分でなかなか揃えられないとか。
 ここへ着たのも何か縁があって、私がもう少し広い所でやりたいなって思ってて、一度実家の方に戻って、半年くらいどうしようかなと言う感じで考えていたんです。
 たまたま学生の時の同級生が、瀬戸でワークショップをやることになって、遊びに行ったんですね。
 そしたら金子さんとかも来てて今なにやってるのって言う話になって、私は鍛金の作業ができるような工房をさがしているって言うと、この場所が空いているから使っても良いよって話になって、それが去年の9月頃でした。
 もっと、場所や設備が簡単に使えれば、鍛金や彫金をやる人が増えるんじゃないかと思います。
 彫金だったらカルチャーセンターでも良くありますよね、鍛金は音や振動の問題があるので、なかなか見ませんが、小さなものなら意外とすぐ作れるんですよ。

質問:鍛金の良さ、魅力とは?
石川:私はこ銅の素材が好きなので、それに魅力を感じてやっているんですけど、見てくれる人は、みんなこの色合いが良いって言いますね。
 本当に純粋に調理器具として使うんだったら、熱伝導がすごく良いので、すぐに均一に温まって、それに味がまろやかになるとも聞きます。

Ishikawa_tomoko_03継続は力なり

質問:これからどのような活動をして行くのかを聞かせて下さい。
石川:学生の頃は、ほとんど自己満足だったんですが、作って人に見てもらって、使ってもらう、オブジェとしてみてもらう、という人に働きかけることがどんどんできればと思うようになりました。
 やっぱり人の目に触れてと言うか、そういう事が大事だなと思います。作品を見て、面白いなとか、何か感じて貰えたらとおもいますね。
 作る物は、オブジェであれ生活で使う物であれ作るものを限定したくはないと考えています。その時その時で出来てくるものが違っても良いんじゃないかとは思います。作風へのこだわりは持っていませんが、なにかしらそこに出てしまうんだと思います。
 工業製品で作られているシンプルで美しいものもいいですが、どこか自分らしさというか、メーカが絶対しないような、コストの面とか手間の面でも、何か付けたいんですけれどね。(近くにあったナベを持ちながら)このなべは、形はシンプルなんですけど、取っ手の所で遊べないかなとか、考えて作っています。
 やはり続ける事が力になるんだなってのが、二十代後半から今ぐらいにかけてすごく実感が湧いているところです。これからも作ることを続けて行きたいというのがありますね。年を重ねる毎に良い物、おもしろいものが作れるようになりたいと思います。

取材協力ありがとうございました。(広報委員17回生加藤)

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